第135章

酒井初音は眉をつり上げ、久世悠真が痛みに刺されたようにふらつきかけている様子など意にも介さず、今泉理子が続けようとしていた言葉を引き取った。

「白胥草は寒さを好む。国内にも自生はしてるけど、極寒の高原地帯よ。薬効と収量がいちばんいい産地は――ヨーロッパのスイス」

「それに白胥草は保存が難しいし、輸送も相当きつい。成分の抽出には専門家の手が要る」

「三村正明が、あなたの先月の海外での行動記録を全部洗った。今泉理子、あなたは確かにスイスへ行ってる」

「その間、海外の教授とも会ってるわね。……あいにく、その教授は久世美月の実の叔母――久世莉々」

酒井初音は唇の端を持ち上げた。澄み切った瞳...

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